「パワハラを受けて退職したのに、離職票の離職理由が自己都合にされている。」
「休職期間満了後に退職したけど、なんとかして離職理由を会社都合にしたい。」
そんな悩みを抱えるのはあなただけではありません。
休職期間を満了して退職しても離職票はもらえますが、離職票の離職理由は自己都合のケースが多いものです。しかし実は、条件次第で会社都合にできるケースがあります。
この記事では、休職期間満了後の退職でもらった離職票の理由を会社都合にできる条件について解説します。
- 離職理由が会社都合の場合のメリット
- 休職期間満了でもらった離職票の離職理由を会社都合にできるケース5つ
- 人事担当者へ連絡する文章の例文
記事の最後で傷病手当金を継続したまま退職する方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
休職期間を満了した後の退職でも離職票はもらえる
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休職期間満了後の退職でも、離職票はもらえます。退職者が離職票の発行を求めたとき、それを発行するのは会社の義務だからです。
ただし、あなた自身が人事担当者に「離職票はいらない」と伝えている場合はもらえません。離職票がもらえるのか不安な方は、念のため「離職票が欲しい」と意思表示しておきましょう。
離職理由の「自己都合」と「会社都合」の具体的な分類
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離職票のうえで離職理由は「離職区分」として13種類の記号で表現されており、それぞれの記号と内容は以下の通りです。
- 2D 契約期間満了による退職(2A、2B又は2Cに該当するものを除く)
- 3E 定年・移籍・出向による退職
- 4D 正当な理由のない自己都合退職
- 5E 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇
- 1A 解雇(1B及び5Eに該当するものを除く)
- 1B 天災その他やむを得ない理由により事業の継続が不可能になったことによる解雇
- 2A 特定雇止めによる離職(雇用期間3年以上雇止め通知あり)
- 2B 特定雇止めによる離職(雇用期間3年未満等更新明示あり)
- 2C 特定理由の契約期間満了による離職(雇用期間3年未満等更新明示なし)
- 3A 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職
- 3B 事業所移転に伴う正当理由のある自己都合退職
- 3C 正当な理由のある自己都合退職(3A、3B又は3Dに該当するものを除く)
- 3D 特定の正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間6月以上12月未満)
現在離職票に記載されているのが自己都合に分類される4つのうちどれかだったとしても、事情によっては会社都合に分類される9つのうちどれかに変更できる可能性があります。
次の見出しから、離職理由が自己都合でも会社都合に変更できる事情について解説していきます。
休職期間満了の退職でも、離職理由を会社都合にできる可能性がある
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休職期間を満了して退職すると、ほとんどの場合、離職票の離職理由を自己都合にされますが、状況次第で離職理由を会社都合にできるケースがあります。
離職票の離職理由を会社都合にできると、失業手当を受給するうえで以下のメリットを受けられます。
- 給付開始期間が早くなる
- 給付期間が伸びる(総支給額が増える)
- 受給要件が緩和される
会社都合の退職は会社にデメリットがあるので、会社は積極的に会社都合で書いてくれません。会社都合の理由にするためには、あなたが行動を起こす必要があります。
休職期間満了でもらった離職票を会社都合にできるケース5つ
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離職理由が「自己都合」に該当する離職票。以下5つのどれかに当てはまった場合は、ハローワークに異議を申し立てましょう。離職票の理由を会社都合にできる可能性があります。
- 就業規則の「解雇」の条文に記載がある
- 長時間残業の証拠がある
- 会社から退職を勧められた証拠がある
- パワハラ・セクハラなどの証拠がある
- 会社が法律・法令に違反している証拠がある
特に、長時間残業やハラスメントが原因で休職した方で、証拠を残せている場合は会社都合にできる可能性が高いです。
就業規則の解雇の条文に記載がある
就業規則の「解雇」の条文に「休職期間満了での退職」が書かれている場合、退職理由の区分「1A 解雇」に相当し、会社都合の退職となります。
- 「解雇」ないし「労働契約の解除」の理由に「休職期間満了での退職」がある場合は会社都合(解雇=会社都合)
- 「退職」ないし「労働契約の終了」の理由に「休職期間満了での退職」がある場合は自己都合(退職=自己都合)
もしも、会社の就業規則を確認できる状況なら、積極的に確認しましょう。
「解雇」の条文に「休職期間満了での退職」が書かれていたにもかかわらず、離職票の離職理由が自己都合で書かれている場合、ハローワークに異議を申し立てましょう。
長時間残業の証拠がある
以下のような長時間残業の証拠を残しているなら、会社都合退職の「3C 正当な理由のある自己都合退職」あるいは「3D 特定の正当な理由のある自己都合退職」に該当する可能性があります。
- 離職前の半年間内で 3ヵ月連続して 45 時間以上
- 1ヵ月で100時間以上
- 2~6ヵ月の平均で月80時間以上
例えば、タイムカードや日記などが「証拠」にあたります。もしも、記録を残しているなら積極的に活用しましょう。
会社から退職を勧められた証拠がある
会社が退職を促して、あなたがそれに応じた場合「3A 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職」です。「自己都合退職」とありますが立派な会社都合退職ですから、証拠がある場合は積極的に利用しましょう。
例えば、上司から退職を勧める内容のメールや会話の録音データなどが証拠にあたります。
パワハラ・セクハラなどの証拠がある
職場でのパワハラやセクハラなども、会社都合退職の「3C 正当な理由のある自己都合退職」あるいは「3D 特定の正当な理由のある自己都合退職」に該当する可能性があります。
以下のような証拠を残しているなら、ハローワークに異議を申し立てましょう。
- 嫌がらせをしているメール
- パワハラをしている音声や動画
- 上司がセクハラをしている写真
もし、同僚がセクハラやパワハラを目撃している場合は、証言してもらいましょう。
会社が法律・法令に違反している証拠がある
会社が法律・法令に違反している場合も、会社都合退職の「3C 正当な理由のある自己都合退職」あるいは「3D 特定の正当な理由のある自己都合退職」に該当する可能性があります。
- 予告のない解雇
- 労働中に休憩を与えない
- 有給休暇や産休を取得させない
- 残業代を払わない
これらの証拠が手元にある場合、ハローワークへ相談しに行きましょう。
【例文あり】就業規則を確認するために人事担当者へ連絡しよう
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社内のポータルサイトに就業規則が見当たらない場合は、人事担当者に連絡して、コピーや写真などを送ってもらえないか相談しましょう。
会社は、従業員全員がいつでも就業規則を見られるようにしなければなりません。しかし、従業員がコピーを欲しがった時については法律に何も記載がなく、会社はコピーを断ることができます。
できるだけ断られないように、以下のような構成で、丁寧な文章で連絡してください。メールで問題ありません。しかしLINEは避けた方が無難でしょう。
- 担当者の状況を慮り、感謝を伝える
- 「就業規則を閲覧したい」とはっきり依頼する
- 就業規則を閲覧したい部分を具体的に書く
- 頼りにしていると意思表示し、改めて感謝を伝える
文章を作るのが苦手な方へ向けて、上記の構成で書いた例文を作成しました。もし採用されるなら、ところどころをご自分が普段使う言葉に置き換えたうえでご利用ください。
〇〇部〇〇課
〇〇様
いつもお世話になっています。休職中の〇〇です。
この度は私の退職でご迷惑をおかけして申し訳ありません。いつも迅速な対応をしていただいて、本当に助かっています。ありがとうございます。
お忙しい中大変恐縮なのですが、ひとつお願いがあって連絡させていただきました。
私が今回退職するにあたって、就業規則を閲覧したいのです。コピーをいただいたり、写真をいただいたりなど、何か方法はありませんでしょうか。
というのも、退職金や退職、解雇についての条項を確認したいのです。
・退職金があるのかないのか、あるならどんな計算式になっているのか。
・休職期間が満了した場合、退職か、解雇か。
・離職するにあたって必要な手続きはどんなものか。
そういった内容を確認できれば大変ありがたいです。
大変申し上げにくいのですが、〇〇さんにだけはどうしても会いたくありません。ワガママを言っているのは重々承知で、出社しての閲覧は避けたいというのが本音です。
こんなことを相談できるのは〇〇様しかおらず、大変頼りにしています。こんな内容でお時間をとらせて本当に恐縮ですが、どうかご配慮いただけませんでしょうか。
こんなに手のかかる私に、いつも真摯に対応いただき、本当に感謝しています。いつもありがとうございます。
何卒、よろしくお願いいたします。
〇〇部〇〇課
〇〇
執筆:当メディア管理者
上記のようなメールを送っても「出社しなければ閲覧できない」と回答が来る可能性は十分にあります。他に、知りたい内容について就業規則ではなく文章で回答されるケースもあるでしょう。
「就業規則のコピーや撮影は認めない」と会社で定められているケースがありますので、コピーを送ってもらえなくても落ち込まないようにしてください。担当者から回答がもらえたら十分です。
休職期間満了での退職でも離職票を会社都合にできる可能性がある
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休職期間満了後の退職は、離職票の離職理由が自己都合になるケースが多いです。そんな中、離職理由を会社都合にできるケースは以下の5つです。
- 就業規則の解雇の条文に記載がある
- 長時間残業の証拠がある
- 会社から退職を勧められた証拠がある
- パワハラ・セクハラなどの証拠がある
- 会社が法律・法令に違反している証拠がある
これらの内容が分かる証拠がある場合、ハローワークに相談しましょう。
また、生活費が足りなくて将来が不安な方は、休職期間が18ヶ月未満なら退職後も傷病手当金を継続できます。半年や1年で休職期間が満了してしまった方はこちらの記事もぜひお読みください。
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